地震の影響で、関東の私鉄はすべて運転見合わせ。
このような状況の中で、家に帰るべく知恵を絞る。
歩けば約30km。
やれなくはないが、夜は冷え込み、体の疲労も限界に達するのも早そうだったので断念。
帰るのはあきらめて、ホテルを予約しようにも、近隣の駅を含めてもすべて満室。
残るは、漫画喫茶か、カラオケボックスか。
しかし、耐震性に疑問を感じるようなイメージがあり、もしまた大きな余震がきてビルごとつぶれたらシャレにならない。
地震から4時間が過ぎるも、まだ余震が続いており、電車の復旧は見込めなさそう。
残された道は、タクシーを待つか。
駅で夜を明かす覚悟を決めるか。
ダメモトで長いタクシーの最後尾へ。
先頭の人までは、ざっと100人くらい。
いつ先頭にたどり着くのか見当がつかない。
肝心のタクシーは、1時間に3台くらいしか来ない。
一緒に並んでいる人と世間話をしながら、帰る方面を確認しあう。
すぐ後ろにいたおばちゃんは、自分の帰り道の途中ということがわかり、一緒に相乗りしましょうと。
しばらくして、「善意の人」 1人目登場。
たまたま人を送りにきた主婦が、「○○方面へ行く方いますか~」と叫んでいる。
すぐ隣にいたおばちゃんが、その近所ということで、タクシーの列から解放され帰宅へ。
めでたし。
列に並び始めて2時間。
「善意の人」 2人目登場。
列の先頭のほうから、相乗りのため、みんなの行き先を聞いて画用紙に書いて回っている。
このとき、自分と同じ東京方面に行くマダムを発見。
その10分後。
向かい道のほうからタクシーに列に向かって、「東京方面へ行く方いますか~」と叫んでいるおばちゃんが。
奇跡。
「善意の人」 3人目登場の瞬間。
先ほどの同じ東京方面へ向かうマダム2人と、途中下車するおっちゃんと、4人で相乗りタクシー。
東名高速横浜インターから、青葉台ICを経由して、東京ICで世田谷へ。その後品川へ。
ところどころ渋滞もあったが、予想以上にスムーズに東京へ帰ってくることができた。
結果、割り勘で格安に帰ってくることができた。
いろいろな奇跡があり、帰宅難民とならずに帰ってくることができた。
世の中には、やさしい人がたくさんいる。
物騒な時代といわれて久しいが、危機的な状況は、みんな同じ。
ほっとする相乗りタクシーであった。
しかし、その後、テレビで東北地方の惨状を知ることになる。