2011年3月27日日曜日

紙の本

家にある本を全てデジタル化すれば、物理的な本棚のスペースがいらなくなる。

全て数センチ四方の箱の中に入ってしまう。

いま、この時代において、紙の本である理由はなんだろうか。

デジタル機器が今のように普及する以前であれば、広く世間に対し伝えたいことがあれば、紙に印刷して「本」という形にする以外方法がなかった。

だから、「本」という形に意味があったわけではなかった。

単なる、情報またはデータの伝達手段でしかなかった。

しかし、ここ15年ほど前から、パソコンや携帯電話が急速に普及し、インターネットという新しい情報伝達手段が確立した。

単なる文字情報や図や写真は、本を介さなくても、デジタル信号で世界中に届けることが可能になった。

その一方で、全体的な売り上げは落ちているが、未だ新聞も雑誌もなくなっていないし、本も単行本から新書、文庫、写真集、その他専門書など、まだまだ紙の本が圧倒的に主流のままだ。

アマゾンはインターネットを使いながらも、最初は「紙の本」を売っていた。

この時点では、出版社にとってアマゾンは良き販売店であった。

その後状況は変わる。

アマゾンはKindleという書物を表示する端末を発売し、インターネットを使って直接Kindleの中にデジタル化した本を売るようになった。

ここまでくると、街中にある書店から人は遠のき、本の物流を担う取次店の存在価値が減り、印刷所からインクの臭いが消え、紙を作る量も減るのは、時間の問題と思えてくる。

紙の本に求めるものはなんだろうか。

紙の手触り。

ほのかなインクの香り。

見開きの圧倒的な迫力。

アクセスのし易さ。

メモ、アンダーライン、蛍光ペンの書き込み。

書斎のコレクション。


個人的には、しばらく電子書籍がパッとしない今と同じ状況が5〜10年くらいは続くと思う。

既得権はそう簡単に変わったりなくなったりしないから。

人が、「本」というものに価値を見出している限りなくなりはしないが、結局は、本の中身、ソフト次第でどうにでも変わっていく。

インターネットでは手に入らない、価値あるものを出し続けていかないと、紙の本も電子書籍もなくなってしまうことだけは確かだと思う。